うにちゃは映画の夢を見るのか

1997年生まれのオタクがそれらしいことを述べ、そこはかとなく納得、共感させてしまうブログ。イラストレーターになりたい。

RAW ~少女のめざめ~ ネタバレ考察

 

RAW ~少女のめざめ~ ネタバレあらすじ

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 菜食主義者として育てられたジャスティーヌは両親の母校であり、姉も在学している獣医学校へ入学することなり、大学寮でゲイのアドリアンと出会う。獣医学校ではさまざまな儀式があり、そのうちの一つにウサギの腎臓を食べなくてはいけなく、ベジタリアンだった彼女は姉も過去に食べたことを聞き人生で初めて肉を口にしたのだった。

 肉を初めて食べた副作用からか、全身がかぶれてしまうが塗り薬を塗ることで症状は抑えられた。しかしながら肉を食べた興奮は止まらず学食のハンバーグをポケットに入れて盗んだり、夜な夜な生肉をまるかじりしたり自分の髪の毛を食べてしまったりと、異常な行為を働くようになってしまった。

 そんなことが続き、悩んでしまったジャスティーヌは姉のアレックスの寮室に泊まりに行きました。歯を磨いてるときにふと鏡の後ろをのぞいてみると、以前ジャスティーヌが処方されたものと同じ塗り薬があったのでした。姉も自分と同じ症状が出てることに気が付いたのでした。

 その後、ムダ毛を処理していなかったジャスティーヌに対してアレックスはブラジリアンワックスでの陰毛のムダ毛処理を提案します。 はがれなくなったワックスをはさみで切ろうとしたアレックスに、怖くて抵抗したジャスティーヌは事故でアレックスの中指を切断してしまいます。ジャスティーヌはすぐに救急車を呼びました。

 救急車を待っている間、飼っていた犬に指を食べられないように持っていたジャスティーヌは何を思ったのかそのまま食べてしまったのだった。それを気絶から覚めたアレックスに目撃されてしまったのだ。

 救急車で運ばれたアレックスは指を食べたのは飼っていた犬だと説明した。犬は人間の肉の味を知ってしまったと思われ殺処分されてしまうが、ジャスティーヌの犯した罪はなくなったのだった。

 その後、アレックスはジャスティーヌを町はずれに呼び出した。走ってきた車を見たアレックスはおもむろに道路に身を投げ出し、よけた車は電柱にぶつかり乗っていた人は事故死してしまった。その死体をアレックスは食べ始めたのだった。アレックスはジャスティーヌに人間の食べ方を教えていたのだったが、ジャスティーヌは人間を食べることに罪悪感があり、まだ自分のカニバリズムを認めていなかった。

 自分の本当の正体を知ってしまったジャスティーヌは友達のアドリアンを獲物を見つめるような目で見ていたり、キスしてきた人の唇をかみちぎったり、自分の腕にかみついたりと、自分の本能を制御できなくなってしまった。

 それを見ていたアレックスはジャスティーヌを酔わせ、死体置き場へと連れて行ったのだった。記憶がなく起きたジャスティーヌは周りからさけられていたためアドリアンに問い詰めると、ある動画を見せてくれた。そこに写っていたの死体にかみつこうとしている酔って本能むき出しのジャスティーヌだった。

 ジャスティーヌはすぐさまアレックスのもとへ行き、怒りを爆発させ公衆の前でお互いに噛みつき、姉妹喧嘩を始める。しかし、喧嘩することで何かが吹っ切れたジャスティーヌは自分の運命を自覚し、姉とも打ち解け会えたのだった。

 喧嘩の次の日、目を覚ますとゲイのアドリアンが隣で寝ていた。ゲイとはいえ愛していたのだった。ふとアドリアンの体にさわってみると血だらけだったのだった。すぐさま布団をよけると、骨が見えるまで足を食べられたアドリアンがいたのだった。

 ついに無意識のうちに人間、しかも愛する人を食べてしまったことに絶望したジャスティーヌだったが、血が流し台のほうまで続いていたのだ。そこには血だらけで放心状態のアレックスがいた。本能のままにアドリアンを食べてしまったのだった。

 アレックスは逮捕され、事態は収束したかに思えたが、ジャスティーヌの父から衝撃的な告白をされる。「実は母さんもなんだ」おもむろにシャツを脱ぎ始めた父。体には何か所にも及ぶかみちぎったような跡があったのだ。「お前には解決策を見つけてほしい」

 

自分なりに考察してみた

  • 映画冒頭の車の事故は?

 映画は道路に飛びだしたことによって起きた事故シーンから始まる。またそのことについて一切映画では触れられていない。またアドリアンと一緒に街に出た時にも事故っている車が出てきている。しかしその事故った車をよーく見ると違う車なのである。アドリアンとバスで見た車は時系列を考えたらアレックスが行った犯行だと思われるが、映画冒頭のものは母親が在学中に行っていた時のことかもしれない。(背格好的にはアレックスのように見えるが)

 

  • サルと人間は同じか?

 入学後に学食でサルをレイプするとエイズになるのかという話をしていたのを覚えているだろうか?男が言うにはサルをレイプする人間は大勢いるし、サルは認識能力が足りないから人間ではないと主張した。一方ジャスティーヌは人間はサルと同じだ、だから獣医を目指していると主張した。ここでのサルというのは、人間のようで人間ではないもの、つまりジャスティーヌのことをさしたメタファーだと考えられる。

  • デブといわれなかった生徒

 肉食によって全身がかぶれてしまったジャスティーヌは大学内の診査室で、先生から話を聞く。ある日、太った女の子が診察されにやってきた。一通り診察を終えたら女の子は泣きながら初めてデブといわれなかったと泣き出した、と。ここでのデブは普通の人間じゃないということを暗示しているのだろう。先生からは目立たないようにおとなしくしてなさいと、アドバイスを桁のだった。

  • ハンバーグを盗んだわけは?

 ウサギの腎臓を食べた後、学食でハンバーグを盗む、すぐさま見つかってしまうもののアドリアンが料金を払ったため事なきを得たが、ジャスティーヌはすぐゴミ箱に捨ててしまう。ここのシーンではおそらく、ジャスティーヌはハンバーグを食べたかったのだが、みんなの見ている前だった手前盗むというよくわからない行動に出たのだろう。その後サンドイッチを食べるシーンで食べるところを見ないで、と言っていたのでやはり肉を食べる=禁断的行為だったのだろう。ハンバーグの段階では興味がありつつも食べることには抵抗があったみたいと考えられる。

 

  • 豚と人間は遺伝子が似ている?

 スタンドでサンドイッチを食べていると、大型トラックの運転手に話しかけられる。その人がいうには豚と人間の遺伝子は一緒だということらしい。これは、ジャスティーヌは肉食動物、そして人間は食べられる豚、つまり食物連鎖のメタファーだろう。実際に最後のシーンで鐘が鳴ったら生徒たちはまるでパブロフの犬のように反応して外に出てきているのである。捕食するものに劣っては人間は、家畜同然ということかもしれない。

  • 殺処分された飼い犬

 アレックスの指を食べたことにされた犬は人間の味を知ってしまったからと殺処分されてしまった。一方アドリアンを食べたアレックスは逮捕されるだけで済んだのである。本来の動物と人間は一緒というジャスティーヌの考え方では、アレックスは殺処分、つまり死刑になって当然である。つまり、このシーンでは人間と動物ではやはり差があることを示唆しているものだと思われる。

 

 ゲイのアドリアンはこの映画においてかなり重要な役割を占めている。彼とセックスしてしまってからジャスティーヌは本能的になってしまって、自分を抑えられなくなってしまっている。つまり、彼がジャスティーヌの本能のスイッチになっていたともいえるだろう。また、彼もジャスティーヌと同じ普通の人間ではない、ゲイという特徴を持っといた。ジャスティーヌだけではなく、彼もまた、生きにくい世の中の中で生活していたのだ。

  • 姉妹の関係性

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アレックスとジャスティーヌはまさに獣の姉妹のように描かれていた。最初は姉が服を貸してあげたり、悩み相談やムダ毛処理だとか、ティーンの姉妹として普通に描かれていたが、「狩り」つまり人間の食べ方を教えたり、噛みつきながら喧嘩したりと、まるで犬やオオカミのように戦っていたのである。ここでも「人間ではないもの」ということを表していると考えられる。

 

映画の評価

  • おすすめ度

 ★★★★★

 正直衝撃を受けた。グロ要素のある映画とのことで鑑賞したのだが、社会的弱者がどう生きるのか、生まれ持った普通ではない部分をどうやって受け入れていくのか、考えさせられる映画だったと感じた。映画自体は1時間半で終わってサクッとみられるのでおすすめ。

  • おもしろさ

 ★★★★☆

 映像的にも綺麗で視覚的おもしろさもある映画だと思う。やはりフランス映画は不完全な愛だったり、狂気的な愛が多い気がするが、この映画もその一部になると思う。好きな人が食べちゃいたいくらい好きってまさにこのこと。

  • グロさ

 ★☆☆☆☆

 グロさはほとんどない。動物を解剖したり、血がばらまかれたりとかそれくらい。ただ気持ち悪さは結構あると思うが、中高生でも見れるので是非見てほしいところ。

  • 総合評価

 ★★★★★

 この映画では、カニバリズムはもちろんのこと、菜食主義、ゲイ、太っている、様々な普通ではない人が登場する。またそういう人にこうあるべきだとか、こうしないと罰が当たるといったように普通であることに強制しているシーンもある。(おむつをはかされるシーンとか)

 普通であることとはなんなのだろうか?この世の中の人間が全員ゲイだったらゲイは何も口出しされることはないだろうが、ゲイ人口が少ないから普通じゃないとみなされ攻撃される対象になるんだろう。彼らにとっては生まれてきた環境そのものだからゲイであることは普通じゃないからと言って恥じることではない。太っているからと言って、やせなければいけないということも間違っているのだ。

 

 この世のすべての人間が、人それぞれの特殊性を持っているのだ。それを隠しながら、表に出さず生きている人もかなりいるだろう。そんな人はジャスティーヌのように自分が自分であることを認めるきっかけが見つかるといいですね。

 

 関係ないけど、髪の毛描くの難しすぎるんですけど…アレックスの髪の毛とかもう…ひどい有様じゃんね